プ譜を用いた振り返りと再構想

この記事について

今回のテーマは「振り返り」

 色んな場所で話していることですが、プ譜は「作って終わり」ではありません。もちろん、プ譜の形で「いまの状況と、今後の方向性」を整理することにも、大きな意味はあるわけですが、実行した結果を振り返り、もう一度考え直す、という過程こそが、本当に大切なことです。

 ルーチンワークの世界と、プロジェクトの世界は、昼と夜、光と闇、と言っていいくらいに、逆の原理が支配しているのです。未知の要素が多いプロジェクトの世界では、失敗するのが当たり前。しかしとはいえ、失敗しても良いわけではありません。経済としても、人情としても、成功を目指したい。ではどうするか。

 取り組みそのものの沈没はしないように、しかし積極的に、筋の良い失敗をして、そこから学び、ありたき未来に、にじりよっていくしかないのです。

 結局のところ、あらゆるプロジェクト管理の技法は、リスクマネジメントのためにある、と、言えるかもしれません。しかし、人間は、全知全能ではない。教科書どおりのリスク管理の方法を学ぶのも大事ですが、ほんとうの意味でリスク対応をしていくためには、己の身体知を磨いていくしかありません。
 プロジェクトの身体的感性を磨くとは、どういうことか。己の大局観の有限性を、知る、ということです。昔の人は、これを、無知の知と呼びましたが、まさに、己の小ささを理解することでしか、プロジェクトの力は伸びては行きません。そして、それを理解するためにもっとも手っ取り早いのが、まさにこの「プ譜を用いた振り返り」です。

振り返りと再構想の具体的な方法

 振り返りの観点については、以下のスライドが参考になるかと思います。

 振り返りをしたあとに、次の局面を再立案するためのステップは、以下をご参考ください。

①廟算八要素に対する認識の変化を記入する
②獲得目標に変更は必要ないか?を考える
③勝利条件、中間目的に変更は必要ないか?を考える
④上記の考察を終えた後に、施策を考える

よく受ける質問

Q.課題がある、未達である、等のネガティブな振り返りばかりになってしまうのは問題ですか?

A.問題ありません。むしろ、事前の想定と異なった結果のほうが重要な示唆を与えてくれますので、想定外は、遠慮せず、バンバン書き込んでいきましょう。

Q.獲得目標や勝利条件の変更を容認すると、ゴール設定の下方修正につながり、妥協的なプロジェクト運営になるのではないか

A.下方修正になるかどうかは、第一に推進者の意気込みの問題であり、変更を容認するからといって、ただちに妥協的となるとは限りません。
むしろ上方修正の可能性だってあるわけですし、そもそもプロジェクト活動において直面する諸問題は、いわゆる「創造的問題解決」が求められる類のそれであり、上方修正か、下方修正か、という二択に陥っているようでは、いけません。
また、補足ですが、「妥協的であること」が常にネガティブな、望ましくない方向性を意味するとは限りません。時と場合によっては、「妥協ができないこと」が、膠着状態の打開を困難にします。

Q.プ譜を書くことで、あらゆるリスク対策ができますか?

A.「あらゆるリスク」となると、どんな手段を用いたとしても、難しいかと思いますが、しかし、プ譜で表現したものを複数の有識者がレビューすることで、かなりの予防が可能になります。また、いわゆる兵棋演習の要領で、今後起きる未来をシミュレートすることも、リスク対策の意味で、有効です。

筆者の実体験における、もっとも劇的だった振り返り&再立案

 「紙一枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本」(翔泳社)でもご紹介していますが、筆者自身の最大の学びは、独立した頃に味わったように思います。

第一局面 独立直後

第二局面 何が起きたかの振り返り

得られた気づきと状況変化、そして再構想

※その他、多くの事例が掲載されていますので、ぜひご覧ください!

まとめ

 プロジェクトの振り返りは、ダイナミックであればあるほど、意味が深まるものです。つまり、大事なのは「こうせねばならない」「そういうものだ」と思っていたことが「実はそうではなかった」と気づく瞬間なのです。
 つまり、己の勘違いに気づく瞬間。卵の殻が、パカンと割れた瞬間。

 禅の言葉に、啐啄同時、という言葉があります。雛が卵の中から外にコツコツするのと、親が雛に向かってコツコツする、両者のタイミングが一致した、その瞬間に、悟りが開けるのだ、という意味です。プロジェクト活動の視界が開ける瞬間とは、まさにそれに似ています。

 「あっ」という瞬間。

 それは、人から言葉で教えてもらうことは不可能なのです。自分自身が、自らの実体験として、内側からの気づきとして、得られなければならないものです。
 自分のなかにある「当たり前」のほとんどは、実は、捨ててしまって構わないのです。

 廟算八要素は、その表現内容もさることながら「変化」に注意を払うべきであって、廟算八要素の変化は、実は、獲得目標や勝利条件のダイナミックな更新と、深いところで連動しています。「いま、ここに至って、こうなったからこそ、こういうふうに、目指しなおす」という思考のダイナミズムが決め手となります。

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「色々と試行錯誤しているが、
どうもうまくいかない」という方に

不調の根本原因と、本来の目的が
言葉になったら

悩みや迷いは、おのずと解消する。

セッションの概要

・最初の10分 自己紹介と、取り組みやお悩みの全体的な内容をお伺いします
・次の20分  専用ツール「プ譜」を使って、ご一緒に思考の言語化、可視化を実施します
・次の20分  AIレビューも活用し、思考の穴を、さらにご一緒に探します
・最後の10分  ネクストアクションを整理します

無料ショートセッション

「プ譜を使った純粋壁打ち」

なぜ「解決策ありきでない」のか

 私事で恐縮ですが、40歳になる手前あたりから、「軽微なんだけど、持続すると辛い体調不良」(耳鳴りが気になる、とか、なんだかちょっと眠りづらい、など)をちょこちょこと新規獲得してきました。

 その度に、結構あわあわしながら対処してきたのですが、駆け込み先は、標準治療だったり、ときに保健外の漢方だったり整体だったり。最初に駆け込んだ先で一発で良くなることは少なくて、色々と試していくなかで、解決してきました。
 根本原因に辿り着くと、だいたいは冷えだったり、姿勢だったりして、薬で治すよりは、生活習慣を改善したほうが早くよくなった、というオチとなることが多くありました。
(たとえば、急に舌の調子が悪くなって、その原因が冷えで、最初は高い漢方で治していたけど、最終的に、夜寝るときに、首にタオルを巻いたら良かっただけだったとわかった・・・みたいな)

 不調のときに、初手で根本原因がわかったら良かったのになぁと思うのですが、これがなかなか、わからないものです。
 あれこれ試すなかで、あ、これだったんだ、とわかる展開が多いものです。

 経営課題や業務課題も、プロジェクト課題も、実は同じなのだと思っています。
 解決策を探すより、原因を探すのが、鉄則。とはいえしかし、分析には常に限界がある。分析には常に時間もコストもかかるし、全部が全部は、わからない。色々と試してみて、良くなって初めて、ここだったのか、と、わかる。

 例えば、医療でも、内科、外科、心療内科、漢方、リハビリ、耳鼻科、整体とか、そのように分岐しない形での、純粋診療が、あり得たりはしないだろうか?と思うことがあります。
 投薬にしろ施術にしろ、あるいはカウンセリングその他も含め、なにかしらの手段がその事業の仕組みに組み込まれていると、どうしても、手段ありきの診断となってしまいます。思い切って、治療はしない、診療だけのサービスがあっても良さそうに思うことがあります。
 特に、日常で困っている不定愁訴やストレス疾患、それこそ不眠だとか、耳鳴り、手の痺れ、とか…色々回ったけど、よくわからない、というやつ。人間ドックをいくら受けても、腰痛の治し方はわからない。

 こういう話は、個人の健康も、ビジネスやプロジェクト上の問題も、同じだと思っています。

 そこで発案したのが、解決策を売りにしない、焦って解決しようとしない、ただただ原因だけを理解するためだけの、純粋壁打ちでした。

 究極の根本原因が見えてしまえば、ものすごく安価な手段で、悪いところは、自分で解決できる。見立てをつけるところだけを、徹底的に、寄り添う。
 そんな壁打ちがあってもいいじゃないか、そう思って、始めることにしました。

なぜ「無料」なのか

 ありがたいことに、体験いただいた方には「お金をとってもいい」「事業化できるクオリティ」といっていただけます。が、そこで費用を取ってしまうと、相談を提供できる機会を絞ってしまうことになりますし、無償だからこそ、本当の意味で「フラットな壁」になれると感じています。
 なので、無料でさせていただきます。

 もちろん、そこから始まって、定期的に続けたいとか、会社の中で展開したい、といったことになると、適性な対価のご相談も始まるかなとは思いますが、そのような場合でも、当方から無理にプッシュして、ということはいたしません。

 なぜなら、やはり、コンセプトは「純粋壁打ち」なので!
 ぜひ、叩きに来ていただけますと幸いです。

体験者の声をご紹介

・始める前は、考えがまとまっていなかったけど、言語化してくれて、方向性が見えた!
(通信系ベンチャー企業勤務 相談テーマは「ライフワークを見つける」)

・プロジェクトのキックオフのイメージが持てた
(情報システム部門 リーダー 相談テーマは「社内改善プロジェクトをもっとスムーズに進めたい」)

・プ譜は面白い。プロジェクト立ち上げ時の、チームビルディングにも使えそう!
(大学教員 相談テーマは「学生のプロジェクト活動支援」)

・話を聞いてくれて、ありがとうございました。シンプルに、楽しかった!(*^^*)
(フリーランス プロフェッショナルPM 相談テーマは「プロジェクト思考の深堀り」)

セッションの様子の例を、こちらの記事でもご紹介中!

結縄久俊さんのビジネス相談

石田葉さんのソーシャルプロジェクト立ち上げ相談

米川植也さんのビジネス相談


この記事の著者

後藤洋平,ポートレート

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。

世の中のプロジェクトがもっと幸せなものであるようにと思って、日々、プロジェクト立て直しや育成プロセス改善など、試行錯誤しながら、活動しています。

mail: info@gotolab.co.jp
Facebook https://www.facebook.com/gotoYohei
LinkedIn https://www.linkedin.com/in/%E6%B4%8B%E5%B9%B3-%E5%BE%8C%E8%97%A4-2159a925b/

youtube再開しました!

https://www.youtube.com/@project_and/featured

著書

・予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)
・紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本(翔泳社)
・“プロジェクト会議”成功の技法 チームづくりから意思疎通・ファシリテーション・トラブル解決まで(翔泳社) 等


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