
複雑なプロジェクトをマネジメントする仕事をしているなかで、次のように感じることはないでしょうか。
- 苦労して調整したのに評価されない
- 問題を未然に防いだのに誰にも気づかれない
- 上司や顧客には結果しか見えていない
- プロマネの仕事が「調整役」としてしか理解されない
プロジェクトの世界では、どうしても結果が評価の中心になりがちです。
しかし実際のプロジェクトでは、成果の多くは
- 判断
- 調整
- 問題の予測
- 関係者との交渉
といったプロセスの積み重ねによって生まれています。
問題は、そのプロセスが外から見えにくいことです。
この記事では、プロジェクトマネージャーとしての評価を高めるために、
プロセスの価値を上司や顧客に認知してもらう方法を整理します。
なぜプロマネの仕事は評価されにくいのか
プロジェクトマネージャーの仕事には、特徴があります。
それは「問題が起きないこと」が成果になるという点です。
例えば次のような仕事です。
- 顧客の要求を整理する
- メンバーの負荷を調整する
- スケジュールを見直す
- リスクを事前に回避する
こうした活動がうまく機能すると、プロジェクトは順調に進みます。
しかし順調なプロジェクトでは、周囲からはこう見えることがあります。
「特に問題はなかった」
つまり、問題を防いだこと自体が評価されにくいという構造があります。
評価されるプロマネの共通点
一方で、評価されているプロジェクトマネージャーもいます。
その人たちに共通するのは、プロセスを見える形にしている
という点です。
例えば
- 判断の理由を説明できる
- プロジェクトの状況を整理して共有している
- リスクと対策を言語化している
こうした情報が共有されていると、周囲は
「このプロジェクトは考えて運営されている」と理解できます。
つまり重要なのは、プロマネの思考を可視化することなのです。
プロセスを可視化する方法
プロセスを可視化する方法としては、さまざまなものがあります。
例えば
- 議事録
- 進捗報告
- リスク管理表
- プロジェクト計画書
ただし、これらは多くの場合、情報が分散してしまうという問題があります。
また、読み手によっては
「結局このプロジェクトはどういう状況なのか」が見えにくいこともあります。
そこで役立つのが、プ譜(プロジェクト譜、プロジェクトの戦略譜面)という整理方法です。
プ譜とは何か
プ譜は、プロジェクトを次の要素で整理する方法です。
- 獲得目標(当面、目指している具体的な成果物)
- 勝利条件(成功とは何か)
- 状況(課題や制約)
- 打ち手(次に取る行動)
これらを一枚の図にまとめることで、
プロジェクトの構造を見える形にします。

プ譜が評価向上につながる理由
プ譜を書くと、プロジェクトマネージャーの思考が整理されます。
例えば次のようなことが説明できるようになります。
- なぜこの優先順位なのか
- なぜこのスケジュールなのか
- なぜこの判断をしたのか
つまり、プロマネの判断プロセスを共有できるようになります。
上司や顧客からすると、
「何となく進んでいるプロジェクト」ではなく、
「考えて運営されているプロジェクト」として認識されます。
この認識の違いは、評価にも大きく影響します。
具体例:プ譜を書く前と後で、何が変わるのか
プ譜のイメージをつかむために、一つの場面を考えてみます。
社内の業務改善プロジェクトを担当しているとします。スケジュールは遅れ気味で、関係部門の協力も得にくい状況です。上司への進捗報告では「どうなってるの?」と聞かれるたびに、うまく説明できない——そんな場面です。
プ譜を書く前の報告は、こんな形になりがちです。
「現在、要件整理を進めています。関係部門との調整に時間がかかっており、スケジュールが若干後ろ倒しになっています」
事実は伝わりますが、「なぜ遅れているのか」「どう対処しているのか」「このプロジェクトがどこを目指しているのか」は見えません。上司からすると、「結局大丈夫なの?」という不安が残ります。
プ譜で整理すると、こう変わる
プ譜の4つの要素で状況を整理すると、次のようになります。
① 獲得目標(目指している当面の成果物)
→ 改善のASIS/TOBEと解決策の設定と合意
② 勝利条件(このプロジェクトの「成功」とは何か)
→ 3ヶ月後に新業務フローが現場に定着し、月次の確認作業が半減している状態
③ 状況(今の課題・制約)
→ 管理部門Bの承認が必要だが、担当者のリソースが逼迫しており、打合せが設定できていない
④ 打ち手(次に取る具体的な行動)
→ 管理部門Bの上長に直接説明の場を設け、優先度を上げてもらうよう交渉する
これを踏まえた報告は、こうなります。
「このプロジェクトのゴールは、3ヶ月後に現場の月次作業を半減させることです。現在の課題は管理部門Bとの調整で、担当者のリソース不足が原因です。そのため今週中に上長へ直接説明し、優先度を上げてもらう予定です」
状況・判断・打ち手がセットで伝わるため、上司は「考えて動いている」と認識できます。
これが、評価につながるプロセスの見せ方です。
ポイントは「一枚に収める」こと
プ譜の肝は、上記の要素を一枚の図にまとめることです。報告書や議事録では情報が分散しますが、一枚に収めることで「このプロジェクトの今」が瞬時に共有できます。定例会議のたびにこの一枚を更新・共有するだけで、プロセスが自然と可視化されていきます。
実践のポイント
プロセスを認知してもらうためには、次の3つが重要です。
1 状況を整理する
まず、プロジェクトの状況を整理します。
- 何が課題なのか
- 誰が関係しているのか
- 何が成功なのか
2 判断の理由を共有する
プロジェクトの判断には必ず理由があります。
その理由を
- 会議
- 資料
- 報告
などで言語化していきます。
3 構造を一枚で見せる
プロジェクトの構造を一枚絵として共有すると、理解されやすくなります。
ここでプ譜が役立ちます。
まとめ
プロジェクトマネージャーの仕事の本質は、プロセスワークであるということです。
しかし、そのプロセスは放っておくと見えません。
形としての成果も見えません。
そのため、
- 状況
- 判断
- 打ち手
を整理し、共有することが重要です。
その方法の一つがプ譜(Project Score)です。
プロジェクトの構造を可視化することで、
プロマネとしての仕事の価値も、より伝わりやすくなります。
ご案内
「プ譜」と「Project Entropy Score(成功確率と不確実性のAIレビュー機能)」は、
プロジェクトの進行設計・構想を作成・共有することができるWebサービス「キックプ譜」にて、お使いいただけます。
すべての機能が無料でご利用いただけますので、
ぜひ、使ってみていただけると幸いです。

プ譜体験ショートセッションを開催中!
「プ譜を書いてみたいけど、どうやって書いたらいいかわからない」
「チームや組織で活用するための、事例やコツを知りたい」
そんなお疑問にお答えする
オンラインでの体験会を開催しています!
セッションの概要

コース① プ譜そのものを理解したい!という場合
・最初の10分 自己紹介と、取り組みやお悩みの全体的な内容をお伺いします
・次の20分 プ譜をあなたの代わりに作成させていただきます
・次の20分 「成功確率」の観点から、ブラッシュアップするポイントをご一緒に考えます
・最後の10分 ネクストアクションを整理します
コース② プ譜の事例や活用法を知りたい!という場合
・最初の10分 自己紹介と、取り組みやお悩みの全体的な内容をお伺いします
・次の20分 個人でつかう場合、チームでつかう場合など、近いケースでの事例をご紹介します
・最後の10分 質疑応答
※どちらのコースにするかは、「最初の10分」のパートでお伺いします
プロジェクトの成功確率を高める
「設計のコツ」がわかる!
プ譜体験
ショートセッション
~体験者の声をご紹介~
・始める前は、考えがまとまっていなかったけど、言語化してくれて、方向性が見えた!
(通信系ベンチャー企業勤務 相談テーマは「ライフワークを見つける」)
・実際に、プロジェクトのキックオフで使うイメージが持てた
(情報システム部門 リーダー 相談テーマは「社内改善プロジェクトをもっとスムーズに進めたい」)
・プロジェクト立ち上げ時の、チームビルディングにも使えそうと思った!
(大学教員 相談テーマは「学生のプロジェクト活動支援」)
・シンプルに、楽しかった!(*^^*)
(フリーランス プロフェッショナルPM 相談テーマは「プロジェクト思考の深堀り」)
この記事の著者

プロジェクト進行支援家 後藤洋平
ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。
プロジェクト能力開発やPM/PL人材不足問題の解決のために、日々、試行錯誤しながら、活動しています!
著書
・予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)
・紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本(翔泳社)
・“プロジェクト会議”成功の技法 チームづくりから意思疎通・ファシリテーション・トラブル解決まで(翔泳社) 等
提供サービス実績
・現場リーダー層のプロジェクトマネジメント能力や業務課題の現状調査
・カスタマーサクセス、導入コンサルティングの組織、スキル要件整理、プロジェクト標準見直し
・PMO部門責任者の退任にともなう後任探し、引き継ぎのための業務棚卸し支援
・社員育成体系のリニューアルにともなう社内キーパーソンへのインタビュー、問題整理 等
プロジェクトや組織の悩みがあれば、ぜひお寄せください!
プロジェクトの悩みは、ひとりで悩んでいても、なかなか、解決は難しいものです。
利害関係やしがらみがないからこそ、差し上げられるヒントもあります。
ひとこと、お声がけいただければ、ご相談に乗らせていただきますので、お気軽にご連絡をいただけますと幸いです。
mail: info@gotolab.co.jp
Facebook https://www.facebook.com/gotoYohei
LinkedIn https://www.linkedin.com/in/%E6%B4%8B%E5%B9%B3-%E5%BE%8C%E8%97%A4-2159a925b/
参考
ゴトーラボでは、プロジェクトの企画書や計画書、MTG資料や議事録から、プロジェクト組織や進行に関する深層課題を読み解き、今後、どのような対策を打つとよいかのヒントを差し上げる、というサービスを提供しています。
数多くの深層課題に触れてきたなかで、見えてきた知見もございます。特に、SI開発やDXプロジェクト、新規事業などを中心に多くのご相談をお受けしています。
サービス紹介ページはこちら→ https://www.gotolab.co.jp/pm-skill_assesment/
この記事もおすすめ
プロジェクトワークの基本的な世界観
「プロジェクトの進め方」は1つじゃない!8つのタイプ別に考える推進アプローチ
受託/商品開発/事業開発/変革など、プロジェクトの進め方と勘どころをタイプ別に解説!
「取引」(商談・契約・納品・検収)の一連の流れを「モノ」と「プロセス」の二元的解釈によって読み解く
要望/要求/要件/仕様/設計の違いについて解説!【テンプレートあり】
テンプレートや作例も!プロマネスキル向上のヒント集
ITじゃないプロジェクトも!WBSの書き方再入門【テンプレートあり】
タスクの無間地獄に落ちないための、課題管理のコツ【テンプレートあり】
うっかり間違えやすい、「要件定義」の本質的な意味と方法【テンプレートあり】
SaaS・AI時代のITプロジェクトの鉄則
SaaSを活かすか殺すかは、情報システム企画構想の質が決める【テンプレートあり】
ITサービスの導入成功に必要な「プレ・キックオフ・コミュニケーション」のご紹介
究極の手戻り対策:作業後の「やっぱ、ここ、こうして」問題はどうするとよいか
プロジェクトの遅延やトラブルは、「キックオフ」の時点で、すでに始まっている
AI時代、それはプロジェクトの「マネジメント」でなく「デザイン」の質が問われる時代
プ譜についての解説
プロジェクトを、前に進める設計力
プロジェクト管理ツール比較|WBS・ガントチャートに限界を感じたあなたへの“第3の選択肢”
プロマネとしての評価向上のために|結果ではなく、プロセスの価値を上司や顧客に「認知」してもらう方法
プ譜のワイガヤ研究会
Case3 「聞く人」結縄さんのビジネス相談(リアルケース)
解説!「Project Entropy Score」
プロジェクトの成功確率は事前にわかるのか? 「Project Entropy Score」で考える新しいプロジェクト設計
不確実性の高い意思決定をどう行うべきか?フレームワークだけでは足りない理由もあわせて紹介
新規事業の成功率はなぜ低いのか?アイデアではなく「実行プロセスの不確実性」を評価するという考え方
プロジェクトの類型別攻略定跡
実体験から解説! 委託・受託型プロジェクトのよくある問題と対策
理念とリアルの相克! 事業開発の成否は「テーマとコンセプト」が握る
テーマとコンセプト
プロジェクトの企画構想に、輝きを取り戻すための「視点」と「問い」
プロジェクト進行能力を、組織的に底上げする
社員のプロジェクト進行スキルを、組織的に底上げしていくための処方箋
PM研修おすすめ比較|企業向けプロジェクトマネジメント研修の選び方
3つのお悩みカテゴリでわかる!PM、PL人材の層を厚くするための、打開のヒント
PM/PL人材の評価・育成の方法を徹底解説【テンプレートあり】
PMはOJTでは育たない|PM・PL人材育成が行き詰まる本当の理由と、次の一手
PM研修講師はどうやって探す?企業が実際に使っている10の方法と具体的な企業・団体例
プロジェクト組織におけるPMの役割と、必要な個人の内的資源の話
「プロマネスキル」と「社会人基礎力」の違いを本気で考えてみる!
「PMやPMOに、コストをかける意味って、ほんとにあるの?」という素朴な疑問への答
複雑化した座組みのプロジェクトを救うのは「カリスマ的プロジェクトマネージャ」ではなく「フラットな媒介者」
シリーズ「地獄化プロジェクトからの脱出」
年商10億円の伸び悩み問題を「組織的プロジェクト進行能力」の視点で考える
趣味的な放談コンテンツ
少年漫画の金字塔「HUNTER×HUNTER」は、プロジェクト的思考のヒントのパラダイス
