3つのお悩みカテゴリでわかる!PM、PL人材の層を厚くするための、打開のヒント

この記事について

PM、PL人材の層が薄いとお悩みではありませんか

 「PM、PL人材の層が薄い」
 「難しい案件を、安心して任せられない」
 「中堅メンバーたちのPMスキルを、どうすれば強化できるだろうか」

 というお悩みを、よく聞きます。

 筆者が多くのクライアントと仕事をさせていただいてきた経験から、その悩みは大きく3つの領域にわかれることが多いように感じています。

 すなわち

 A 業務の「生産性や顧客満足」に関する悩み
 B 自社の「人や組織」に関する悩み
 C 事業の「収益性や将来性」に関する悩み

 です。

A 業務の「生産性や顧客満足」に関する悩みの例

B 自社の「人や組織」に関する悩みの例

C 事業の「収益性や将来性」に関する悩みの例

PM、PL人材の層が厚い企業は、ここが違う!

 上記に挙げた悩みや不安は、プロジェクト要素のある業務を行っている企業において、よくある現象です。これらの諸問題に悩んでいない企業は、存在しないと言っても過言ではありません。

 一方で、比較的良好な状況の企業も、存在します。

PM、PL人材の層が厚い企業の特徴

良い状態を作ることができている要因

 なぜ、良い状態を作ることができているのか。からくりは、思ったよりも、単純です。良い状態を作るための要因と、良い状態ができた結果が、好循環を形成しているからです。
 どういうことか、具体的に記載します。

●財務体質の健全性が高く、利益率の低い案件やリスクの高すぎる案件を断ることができる
 ↓
●一定程度の失敗を許容できるバッファがあり、チャレンジがしやすい
 ↓
●会社を支える中核リーダーたちが、経営陣に対して一定程度の信頼を置いている
 ↓
●収益率の高い状態が維持され・・・(以下、繰り返し)

 と、こういうわけです。

 もちろん、外部環境の影響もありますし、ずっと好調の波に恵まれる、ということがあるわけではありませんが、事業のコンディションがいい状態を保ちやすい事業組織と、そうでない事業組織は、わりあいはっきりと明暗がわかれる傾向にあります。

ほんのわずかな違いで、明暗がくっきりわかれる

 PM/PL人材の層の形成は、原因が結果を招き、結果が次の原因を招く、というフィードバックループ構造の上にあります。ですので、ひとたび悪循環に陥ってしまうと、抜け出すのは、簡単ではありません。

悪循環から抜け出すため、目の付け所

 ずばり、PM、PL人材の層が薄いという悩みから脱却するには「目の付け所」が肝心です。
 目の付け所を誤った改善施策では、状況を悪化させるだけで、ひとつの利益もありません。

 そして、目の付け所は、意外と簡単なところにあります。

A「生産性・顧客満足」
B「人・組織」
C「収益性・将来性」

 この3つの悩みのなかで、どの悩みが、もっともいま、悩みが強いか?を考えるのが、最大のコツです。

ケース①
A「生産性・顧客満足」の悩みは強いが、
B「人・組織」とC「収益性・将来性」の悩みは強くない場合

この場合は、「PM、PL人材の層問題」のなかでは、最も軽症です。
人と組織と顧客に恵まれているのですから、まだまだ立ち直りのチャンスがあると言えます。

ただ、舵取りや立ち直りの方法を誤ってしまうと、かえって悪化させかねません。その点は、要注意です。

状況改善にあたって、避けるべきアプローチ

望ましいアプローチ

ケース②
A「生産性・顧客満足」とB「人・組織」の悩みが強いが
C「収益性・将来性」の悩みは強くない場合

 この場合は、「PM、PL人材の層問題」のなかでは、かなりの重症です。「営業力は強いが、納品力が弱い」状態であることを示しており、長期的な安定性にはかなり強い不安があります。

 もし、会社の経営方針として「顧客も従業員も、どんどん入れ替わっても仕方ない、そういうものだ」と考えるのであれば、「PM、PL人材の層問題」は解決不可能ですし、する必要もありませんが、もし「このままではダメだ、活き活きとした良い会社にしたい」と考えるならば、根本的な対処から始めなければなりません

状況改善にあたって、避けるべきアプローチ

望ましいアプローチ

ケース③ すべての悩みが強い場合

 この場合は、もはや瀕死、会社としては死に体だといえるでしょう。

 ただ、ゆえにこそ、正しい時と場合を見極め、「起死回生の一手」を繰り出し、乾坤一擲の起死回生を図ることも、可能です。

状況改善にあたっての、唯一のアプローチ

まとめ

 「会社のなかでPM、PL人材の層が薄い」問題は、以下の3つの領域にわけることができます。

A 業務の「生産性や顧客満足」に関する悩み
B 自社の「人や組織」に関する悩み
C 事業の「収益性や将来性」に関する悩み

 状況を打開するためには、「これらの悩みのなかで、どこが一番つらいか」を考えることが必要です。

 悩みのポイントを明確にすれば、問題のボトルネックが明らかになります。対処方法やアプローチは、その点を明らかにすることで、自ずと見えてきます。


この記事の著者

後藤洋平,ポートレート

プロジェクト進行支援家
後藤洋平

1982年生まれ、東京大学工学部システム創成学科卒。

ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。
著書に「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」「”プロジェクト会議” 成功の技法(翔泳社)」等。

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