
この記事について
連載企画「プ譜のワイガヤ研究会」、始めました!
この連載では、世の中にありそうな様々なプロジェクト状況を題材に、どうすればうまくいくのか、考えるポイントはどこにあるかを考えます。実ケース、仮想ケース問わず様々な状況について、プ譜をただ書くだけではなく、AIレビューの結果や実際の実行結果との比較をすることで、学びや気づきを掘り下げます。
もくじ
1 Case2(仮想ケース):初心者のカレー作り
2 ずばり、AIレビューが判定した成功確率は・・・
3 プ譜をブラッシュアップしたら、成功確率は高まるか?
4 考察とまとめ
Case2(仮想ケース)
一人暮らし歴3ヶ月の、はじめての、カレーづくり
プ譜のワイガヤ研究会、第二回は、仮想ケースを題材とします。テーマは「料理初心者による、はじめてのカレー作り」です。
一人暮らしを始めて3ヶ月、少しだけ新しい環境にも慣れてきて、食事や栄養のことも気になり始め、休日にちょっと料理でもやってみようかという状況を想定します。
・いきなり大傑作料理を作ろうとは思わない
・これまで食べていた、普通の家庭のカレーを作りたい
・ルーを買ってきて、ちゃちゃっとやれば、それなりになるはず
と、考える頭のなかを表現してみたのが、以下のプ譜です。

さて、このカレーづくり、成功確率をどの程度だと見ますか?
実は、実際にこのプ譜を色んな方にお見せすると、料理経験のあるなしで、結構評価が分かれます。
料理経験が豊富な方は「20%ぐらい」と答えることが多く、料理経験が少ない方は「70%ぐらいはいくんじゃないか」と答えることが多いです。
ずばり、AIレビューが判定した成功確率は・・・

成功確率評価は、「55.3%」でした!エントロピースコアは「1.544」でした。
これは「問題をかなり単純化して捉えており、深くは考えておらず、成功確率は五分五分」という評価結果となります。
「自分にもできそうなレシピを探す」の施策が成功確率65%と、やや厳しく見られています。

確かに、初心者なのに、自分にもできそうなレシピを探すことができるのか?」という点は心配です。
とはいえ、市販のカレールウを使うわけですから、65%という値は、なかなか絶妙な気がします。
あらためてこの指摘を見てみると、確かにこのプロジェクトの成功確率は「五分五分だな」と思えてきます。カレールーはとても便利にできていて、多少の調理ミスがあっても、そんなにまずくなるということはない。とはいえ、初心者なので、どこでどんなミスをしてしまうか、予想はつかない。
確かにこの勝負、五分五分と言われると、そんな気がします。
実際にアンケートを取ってみたら、人間評価の平均値も、そんなところに落ち着きそうです。
レビューコメントの全文は、以下のリンクでお読みいただけます!
https://report.kickpufu.com/reports/a172a0e6-bbab-47cd-9a04-647dc3f0e909/VfKfhPBZJf.html
プ譜をブラッシュアップしたら、成功確率は高まるか?
では、ミスをしないように、施策を増やしてみたらどうでしょうか。下のプ譜は、廟算八要素と中間目的を変えずに、施策だけを改善、追加しています。

人間的には、かなり慎重に計画しているので、そうそう失敗することはなさそうですが・・・

なんと、成功確率はがくっと下がってしまいました。エントロピースコアは「6.355」と大幅に上昇しています。
これは「第一局面では、ほとんど深く考えていなかったが、レビューを受けて少し考え直し、思考は深まった。ただし、レビュー結果としては、より厳しく判定された」ということを、数字上は、意味しています。
レビューコメントの全文は、以下のリンクでお読みいただけます!
https://report.kickpufu.com/reports/a172a0e6-bbab-47cd-9a04-647dc3f0e909/VfKfhPBZJf.html
ちょっとくやしいので、中間目的をブラッシュアップしてみました。
一番大きく変えたのは、中間目的です。
Before:「とりあえず、レシピ」「とりあえず、調理」
After :「自分に合ったレシピ」「丁寧な調理」
つまり、施策の中身をブラッシュアップした意図を、より正確に、中間目的のニュアンスに反映させています。

結果、成功確率の評価は11.6% → 18.6%と向上し、エントロピーは6.355→5.157と、圧縮されました。

通常、施策を増やすとエントロピーは増える方向に変わるのですが、記述した意味的内容が改善されているので、むしろ低減していて、この変化は「成功確率と思考の負荷の両面で、思考の質が改善されている」ということを示唆しています。
レビューコメントの全文は、以下のリンクでお読みいただけます!
https://report.kickpufu.com/reports/a172a0e6-bbab-47cd-9a04-647dc3f0e909/VfKfhPBZJf.html
考察とまとめ
以上の検証から、このレビュー機能が、以下の3つの「繋がり合い」を評価していることが、わかります。
・「廟算八要素」=取組状況における制約や、有利不利の認識
・「施策」=実行しようとしているアクション
・「中間目的」=進めていきたい方向
ロジックとして、成功確率が高いか低いかはあくまで「中間目的」の設定次第です。ハードルを低く設定すれば、数字上は高く出ますし、高いハードルを設定したら、低くなります。
当たり前といえば当たり前ですが、ただ、このことは、私達のプロジェクト実務を考えるうえで、示唆的であるように思われます。
「ただ成功すればいい」ではなく「どんな成功基準を掲げるか」のほうが本質。
「より適切な目標設定はなにか」を吟味したうえで、「そこにつながるアクションはなにか」を考え抜く。
そのような思考を巡らせることが、そのプロジェクトを、より取り組み甲斐のあるものにしてくれる。そんなふうに、思えます。
この記事の著者

プロジェクト進行支援家 後藤洋平
ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。
プロジェクト能力開発やPM/PL人材不足問題の解決のために、日々、試行錯誤しながら、活動しています!
著書
・予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)
・紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本(翔泳社)
・“プロジェクト会議”成功の技法 チームづくりから意思疎通・ファシリテーション・トラブル解決まで(翔泳社) 等
提供サービス実績
・現場リーダー層のプロジェクトマネジメント能力や業務課題の現状調査
・カスタマーサクセス、導入コンサルティングの組織、スキル要件整理、プロジェクト標準見直し
・PMO部門責任者の退任にともなう後任探し、引き継ぎのための業務棚卸し支援
・社員育成体系のリニューアルにともなう社内キーパーソンへのインタビュー、問題整理 等
プロジェクトや組織の悩みがあれば、ぜひお寄せください!
プロジェクトの悩みは、ひとりで悩んでいても、なかなか、解決は難しいものです。
利害関係やしがらみがないからこそ、差し上げられるヒントもあります。
ひとこと、お声がけいただければ、ご相談に乗らせていただきますので、お気軽にご連絡をいただけますと幸いです。
メールの場合: info@gotolab.co.jp まで、ご連絡ください。
参考
ゴトーラボでは、プロジェクトの企画書や計画書、MTG資料や議事録から、プロジェクト組織や進行に関する深層課題を読み解き、今後、どのような対策を打つとよいかのヒントを差し上げる、というサービスを提供しています。
数多くの深層課題に触れてきたなかで、見えてきた知見もございます。特に、SI開発やDXプロジェクト、新規事業などを中心に多くのご相談をお受けしています。
サービス紹介ページはこちら→ https://www.gotolab.co.jp/pm-skill_assesment/

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