新規事業の成功率はなぜ低いのか?アイデアではなく「実行プロセスの不確実性」を評価するという考え方

1. 新規事業の成功率はなぜ低いのか

多くの企業が新規事業に挑戦していますが、成功するケースはそれほど多くありません。

新規事業が難しい理由は明確です。

未来の情報がほとんど存在しないから。

既存事業であれば、

  • 顧客
  • 市場
  • 競合
  • ビジネスモデル

などのデータがある程度存在する。

しかし新規事業では、

  • 市場が本当に存在するのか
  • 顧客が価値を感じるのか
  • ビジネスモデルが成立するのか

といった点が不確定なまま意思決定を行う必要があります。

つまり、新規事業とは本質的に不確実性の高い意思決定だといえます。

2. 多くの新規事業フレームワーク

新規事業を検討する際には、さまざまなフレームワークが使われます。
代表的なものとしては次のようなものがあります。

  • ビジネスモデルキャンバス
  • リーンスタートアップ
  • SWOT分析
  • 市場分析(3Cなど)

これらのフレームワークは、アイデアを整理するという点では非常に有効ですが、しかし一つ大きな問題があります。

それはそのアイデアを実行するプロセスの妥当性がわからないという点です。

例えば、

  • 実行のための資源は十分か
  • うまくいかなかった場合のプランBの想定は十分か
  • プロジェクト進行プロセスとして整合性のある行動プランになっているか

といった点は、多くの場合経験や直感に依存してしまうか、場合によっては、そもそも顧みられることすらありません。

3. 新規事業で重要なのは「アイデア」ではない

新規事業というと、多くの場合良いアイデアが重要だと考えられています。

しかし実際には、同じアイデアでも

  • 成功するケース
  • 失敗するケース

が存在します。

その違いを生むのは、アイデアそのものではなく、進行プロセスの企画構想の質です。

例えば、

  • 仮説検証の設計
  • リスクの想定
  • 実行ステップ
  • 市場の前提条件

などが整理されているかどうかによってこそ、プロジェクトの成功確率は大きく変わります。

4. 不確実性を数値化するというアプローチ

新規事業の成功確率を考える上で重要なのは、未来がどれだけ不確実なのかを理解することです。

情報理論では、未来の不確実性をエントロピーという概念で表します。

エントロピーが高いほど、

  • 将来の分岐が多い
  • 結果の予測が難しい

という状態になる。

逆にエントロピーが低い場合、未来の結果はある程度予測しやすい、と、考えます

5. 新規事業の構想を評価する「Project Entropy Score」

この考え方をプロジェクト評価に応用したものがProject Entropy Score です。

Project Entropy Scoreでは、新規事業の構想を入力することで

  • 将来起こりうる局面分岐
  • それぞれの確率

を推定し、プロジェクトの不確実性を数値化します。

つまり、アイデアの良し悪しでなく、どう進めるかを評価するアプローチです。

6. 不確実性を理解すると意思決定は変わる

この考え方を応用すれば、例えば、エントロピーが高い新規事業の場合

  • 仮説検証を増やす
  • 小さく実験する
  • 段階的に投資する

といった判断の根拠を得ることができます。

一方、エントロピーが低い新規事業であれば

  • 投資を加速する
  • 組織リソースを集中する

という判断もできます。

つまり、不確実性を理解することで、適切な戦略を選択できるようになるのです。

7. AI時代の新規事業評価

近年、AIの進化によって

  • データ分析
  • シミュレーション
  • 意思決定支援

の領域は大きく変化しています。

特に新規事業のような複雑で不確実性の高いプロジェクトでは、人間だけで構造を評価するのは難しい。
自分のアイデアは可愛く見えてしまいますし、客観的に筋の良し悪しを判定するのは、至難の業です。

そのため、

  • プロジェクト設計
  • 事業アイデア評価
  • 戦略検討

といった領域では、

AIによる評価支援が重要になっていくと考えられます。

8. まとめ

新規事業の成功率が低い理由は、単純にアイデアが悪いからではありません。

本質的な問題は不確実性が高い状態で意思決定を行っていることです。

そのため、

  • フレームワーク
  • 市場分析

だけでなく、

プロジェクトの不確実性そのものを評価するという視点が重要になります。

Project Entropy Scoreの考え方は、新規事業の構想をより客観的に評価するための新しいアプローチだといえるでしょう。

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この記事の著者

後藤洋平,ポートレート

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。

プロジェクト能力開発やPM/PL人材不足問題の解決のために、日々、試行錯誤しながら、活動しています!

著書

・予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)
・紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本(翔泳社)
・“プロジェクト会議”成功の技法 チームづくりから意思疎通・ファシリテーション・トラブル解決まで(翔泳社) 等

提供サービス実績

・現場リーダー層のプロジェクトマネジメント能力や業務課題の現状調査
・カスタマーサクセス、導入コンサルティングの組織、スキル要件整理、プロジェクト標準見直し
・PMO部門責任者の退任にともなう後任探し、引き継ぎのための業務棚卸し支援
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参考

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