課題管理を導入しようとしたら、溶けてしまった

今回のQuestion

Answer

はい、まさに、分析やコミュニケーション施策は、課題管理も品質管理も、もっといえばタスク管理も全体にオーバーラップしてしまって、扱いづらいですよね。「WBS」と「課題管理」の内容が似たようなものになり、どっちがどっちかわからなくなった、というのも、頻出の「あるある」的なお悩みです。

人数が少ないと、書類を作るより会話したほうが早い、ということにもなったりしますね。
ただ、成果物もあいまい、コミュニケーションもあいまいだと、やっている間に迷子になってしまったりもします。

そのような状況では、あえてまずは「モノ」としての成果物と、その品質基準を決めることをお勧めします。

分析レポート:その構成、項目は? 誰に見せて、どのような意思決定を得るため? そのために必要な精度は? など
振り返り会 :アジェンダ、タイムラインは? ワークシートやツールは? など

①問題解決(戦略)

②ODSC(作業計画)

③課題管理票(進行管理)

フレームワーク① 問題解決

要素:ASIS・TOBE・GAP

分析レポート作りにしても、振り返り会の整備にしても、それをわざわざやろうとするからには、必ず「将来、こうなりたい理想像」があるはず。
プロジェクト管理帳票が溶けてしまうのは、その理想像が不明瞭なことが多いです。

そもそも、現状と理想像を明確化し、そのギャップを解決するのがプロジェクトであるはず。その大前提をあいまいにして、形だけプロジェクト管理帳票を導入しようとすると、なにがタスクで、なにが課題で、なにがマイルストーンなのかもあやふやになってしまいます。

フレームワーク② ODSC

要素:目的・成果物・成功条件

課題管理も品質管理も、本来「これができていなければ、成果物として認められない」という基準があって初めて機能します。ところが分析系の仕事(発話特徴の分析)やコミュニケーション施策(振り返り会の運用)は、成果物が「モノ」ではなく「気づき」や「変化」であることが多く、成功条件を事前に定義しにくい性質を持っています。

質問者の方の1つ目の仮説(作らない仕事だから)は、この点でかなり的を射ています。ただし、分析系の仕事にも成果物がないわけではなく、「分析レポート」や「示唆」という形の成果があるはずです。問題解決の文法を用いてプロジェクトの骨格を整理したら、そのうえでODSCをガッチリと固める。そうして初めてプロジェクト進行のうえでの「課題」が扱えるようになります。

フレームワーク③ 課題管理票

要素:起案者・内容・発生区分・対応方針・対応状況・対応結果

最後にそのものズバリ、課題管理の本質と役割について解説します。課題管理票とは、課題が発生してから解決するまでの間に、時間的・人的な”ずれ”が生じる場合に必要になる道具です。

その意味で、2~3人ぐらいでコミュニケーションコストが少なく、議事メモベースで扱える場合は、そもそも不要であることもあります。人数が増える、あるいは会議の頻度が下がるなど、”ずれ”が生じ始めたタイミングこそが、課題管理票を独立させて導入すべきタイミングになります。

まとめ

課題管理も品質管理も、「入れておいた方が安全」という予防目的で先回りする必要はなく、情報管理の負担が高まって、脳内管理では手に負えなくなったときに初めて必要となるものです。成果物の輪郭がぼやけてきた、あるいは会話だけでは課題が拾いきれなくなってきた、という”ずれ”のサインが出たときが導入のタイミングである、というふうに考えていただけるとよいかと思います。

参考:あなたの悩みの解決法が、必ず見つかる一冊。

 本書は、著者の後藤がこれまでさまざまな企業のプロジェクト支援や研修の現場で培ってきた経験をもとに、「実際に使えるフレームワーク」を体系的にまとめた一冊です。

 東大在学時代の堺屋太一ゼミ「知価社会論」、設計学・サービス工学研究室での学び。新卒就職後の、製造業DXベンチャーでの現場体験、次の会社での新規事業悪戦苦闘。
 さらにはSaaSの会社に転職し、カスタマーサクセスの立ち上げやSIプロジェクト地獄。独立してからの異業種PM支援や人材組織開発、自前のプロダクトアウト七転八倒。そのなかで試行錯誤した、メンタル未病ケアやストレス対策。

 約20年をかけて壁にぶつかり、悩み、突破してはまたぶつかり、ということをやってきた全ての戦訓と気付きを濃縮還元し、「使えるところだけ」をテキストにしました。

無料ワンポイントアドバイスサービスも、よろしければご活用ください!

執筆者のご紹介

後藤洋平,ポートレート

プロジェクト進行支援家
後藤洋平

1982年生まれ、東京大学工学部システム創成学科卒。
製造業DX・人材ビジネス・IT開発・新規事業などの経験から、プロジェクト活動における「未知」という難しさを痛感。解決策を模索するなかで、学生時代に学んだ設計学・サービス工学のプロジェクト活動への応用を着想した「プ譜(プロジェクト譜)」は、進行設計を計画書ではなく「譜面」として表現することで、管理に寄りすぎず、柔らかな進め方ができる手法として、静かながらも長年の支持を得ている。

組織マネージャ、ITプロマネ、二児の父という三足のわらじが履ききれなくなって、2019年5月に独立。企業研修や実務支援に取り組むなかで、どの業界、企業、人にも共通する悩みがあると理解し、なにか一助になりたいと思いながらも試行錯誤を続けている。近年はプ譜を用いた壁打ちセッションを試行中。

著書

・予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)
・見通し不安なプロジェクトの切り拓き方(宣伝会議)
・紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本(翔泳社)
・“プロジェクト会議”成功の技法 チームづくりから意思疎通・ファシリテーション・トラブル解決まで(翔泳社)
・決まるプレゼン・会議の組み立て 意思決定のための「場」の演出論(ビジネス教育出版社)

4年ぶりに、新刊が発売!

著者の後藤がこれまでさまざまな企業のプロジェクト支援や研修の現場で培ってきた経験をもとに、「実際に使えるフレームワーク」を体系的にまとめた一冊です。約20年をかけて壁にぶつかり、悩み、突破してはまたぶつかり、ということをやってきた全ての戦訓と気付きを濃縮還元し、「使えるところだけ」をテキストにしました。

翔泳社 書籍ページへのリンク
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798197159

amazon 書籍ページへのリンク
https://www.amazon.co.jp/dp/4798197157

SNS

Facebook https://www.facebook.com/gotoYohei
LinkedIn https://www.linkedin.com/in/%E6%B4%8B%E5%B9%B3-%E5%BE%8C%E8%97%A4-2159a925b/

YouTube再開しました!

https://www.youtube.com/@project_and/featured