中小企業のためのEAP導入基礎知識

この記事について

EAP(従業員支援プログラム)とは?

 EAPは Employee Assistance Program(従業員支援プログラム) の略で、従業員が仕事やメンタルヘルスなどに関する悩みを、会社ではなく外部の専門機関に相談できる仕組みです。日本では2000年頃から普及し、ストレスチェック制度の義務化(50人以上)も背景に、近年特に注目されています。

何ができるものなのか

一般的に、EAPにおける相談内容は職場のストレスや人間関係にとどまらず、家族問題・法律・財務・育児介護など生活全般にわたるとされています。電話・チャット・対面など複数の窓口が用意されていることが多く、専門のカウンセラーや心理士が対応する事業者も多くあります。

なぜ「外部サービス」を活用するのか

実施体制には社内で行う「内部EAP」と外部委託する「外部EAP」があります。社内の相談窓口だと「上司に知られるのでは」という不安から利用をためらう人が多く出るため、外部機関を使うことで匿名性と守秘性が担保され、相談のハードルが下がるとされています。

導入のメリット

メンタル不調の早期発見・離職防止・生産性維持につながります。健康経営の取り組みの一つとして位置づけられることも多く、健康経営優良法人の認定評価項目にも含まれています。

日本の導入状況

大企業を中心に導入が進んでいますが、中小企業ではまだ浸透が薄い状況です。

なぜ、いま、EAP?

 昨今、多くの企業の業務が「プロジェクト型」へと移行しています。

 多くの人が同じようにルーチンワークをこなす場と違って、プロジェクト型の業務では、従業員個々人の悩みを補足しづらく、気づいたときには重症化していることも珍しくありません。
 特に中小・ベンチャー企業では、若年層の業務不調 → メンタル不調 → 休職、離職 → 人材層が形成されない → 採用コストの高止まり といった負のスパイラルが常態化しており、いま改めて、EAPの必要性に注目が高まっています。

代表的なEAPサービスベンダ

EAPのサービスベンダは大きく分けると、以下の5つのタイプに分類できます。

カテゴリ①:総合EAP

→ 大企業・HR担当が窓口。守備範囲が広く、費用も高め

サービス名特徴
セーフティネット
(保健同人フロンティア)
2,000社・150万人超の実績。
電話・メール・オンライン対応、管理職マネジメント研修も含むワンストップ型
マイシェルパ精神科専門医が運営。
臨床心理士・公認心理師によるオンラインカウンセリング+AIチャット相談窓口も提供
ティーペック24時間対応の相談窓口。
ストレスチェック・ハラスメント対策・法律相談・復職支援まで網羅
エムスリーヘルスデザイン
(M3PSP)
看護師・保健師資格スタッフへの無料相談や医療機関紹介など、
身体面まで含む健康全般サポート。
ピースマインド1998年、まだ日本にEAPという言葉が知られていない時に、
はたらく人をサポートし、世の中から「不」を取り除くという想いのもとに事業開始。
アドバンテッジリスクマネジメント607万人を超える顧客への提供実績と健康経営銘柄に選定された知見から、
企業の健康経営・ウェルビーイング経営を支援。

カテゴリ②:ストレスチェック特化型

→ 法令対応ニーズを入口にする”土台”サービス

サービス名特徴
ORIZIN
(ドリームホップ)
ストレスチェック実施を専任担当が伴走支援するプログラム。
独自の心理相関図オプションあり。
NECソリューションイノベータストレスチェック結果をもとに独自の職場分析レポートを作成。
ストレス要因の職場間・経年比較が可能。
リロクラブストレスチェックのシステム化に特化。
Web専用・紙Web両対応など複数プランあり。

カテゴリ③:産業医・オンライン産業保健型

→ 中小企業の”義務対応”ニーズに応える低コスト路線

サービス名特徴
リモート産業保健
(エス・エム・エス)
産業医と産業看護職の共同体制で月額3万円から。
衛生委員会代行・健康経営優良法人取得支援もある。
メンタルヘルステクノロジーズ
(産業医クラウド)
オンラインで産業医をマッチング。
全国対応あり。

カテゴリ④:カウンセリング訪問型

→ 対面重視、地方拠点・製造業などに強い

サービス名特徴
Eパートナー全国対応の出張カウンセリングが強み。
海外・アクセスしづらい地域の拠点にも専属カウンセラーが訪問。
保健同人フロンティア
(現場型EAPカウンセリング)
カウンセラー約100名が定期訪問。
一般社員だけでなく、管理職・家族も相談対象に含む。

カテゴリ⑤:カジュアル系

→ 「重くない・使いやすい」を訴求

サービス名特徴
LivelyEAP「カジュアルEAP」として、
深刻な不調に至る前の日常的なストレス段階からケアすることを重視。
保健同人フロンティア
(現場型EAPカウンセリング)
東京大学との共同研究から生まれた、アバターを使ったオンライン心理相談サービス。
プライバシー保護と手軽さを両立。

中小企業が自社に最適なサービスを選ぶ基本的な考え方

導入の目的と期待効果、かけられる費用によって選択肢は絞られます。
基本的に、複数のサービスを併用することには意味がありませんので、サービスベンダの選択が、イコールそのままEAP導入の成功・不成功に直結します。

①総合EAP
 ⇒しっかりと費用をかけて、大企業なみのサポート体制を構築したい
②ストレスチェック特化型
 ⇒データ管理、レポート出力などの業務利便性重視
③産業医・オンライン産業保健型
 ⇒衛生委員会の司会進行や議題選定などの業務整備と一緒に進めたい
④カウンセリング訪問型
 ⇒対面での実施による高い効果を期待
⑤カジュアル系
 ⇒若年層や新興企業ゆえの課題に対応

導入しても「意味がない」となる、ありがちなケースは?

① そもそも使われない

「相談したことが会社に漏れるのでは」という不安は、外部機関でも拭えないケースがあります。
利用率が1〜3%台にとどまる企業も珍しくなく、導入しただけで「人事部門や経営陣のやった感につながっただけ」ということにも、なりがちです。

② 入口が狭い(深刻化してからしか使えない)

EAPは本来、問題が小さいうちに使う「一次予防」の機能も持っていますが、「カウンセリング=重症の人が使うもの」というイメージも定着しがちです。
軽い悩みの段階では誰も使わず、深刻化してから初めてアクセスされる。その頃には対処が難しくなっていることも多くあります。

③ 使っても職場環境が変わらない

個人の「受け止め方」や「対処力」を高めることはできても、過重労働・ハラスメント・評価への不満といった組織側の問題にはEAPは手が届きません。
根本原因が職場にある場合、カウンセリングを受けても同じ環境に戻るだけになってしまう。「個人を治療しても、壊れた職場に戻すだけ」という皮肉な構造にもなりかねません。


裏を返すと、本来の意味で正しくEAPを機能させるには、

という3点が必要ということになります。

しかし、この三点を満たそうとすると、ただ単にベンダが提供しているパッケージサービスを導入するだけでは駄目で、自社にとってなぜ必要なのか、本当にやるべきなのか、どの程度の費用をかけ、なにをするのか、社内にどうやって周知するのか・・・という、数々の問題を問いていく必要があります。本気でやろうとすると、かなり大掛かりなプロジェクトになってしまいます。

まとめ:導入する意味のあるEAPを実現するために

ゴトーラボでは、プロジェクト組織やプロジェクト業務に独特の問題に寄り添う「プロジェクト業務対応EAP」として「プ譜の純粋壁打ち」サービスを提供しています。

弊社のコンセプトは、従来のEAPにありがちな「仕組みをいれたが、使われない」ということにならないために、
業務を題材に、壁打ちを行う
壁打ち結果から、組織構造や経営戦略に必要な情報を蒸留し、経営陣にフィードバックする」ということを実現しています。

以下のフォームに必要情報をご入力いただきますと、「プロジェクト型組織のための、EAP絶対成功マニュアル」をダウンロードいただくことができます。

資料をご希望の方は、下記のフォームに情報をご入力のうえ、ダウンロードください。

    後藤洋平,ポートレート

    プロジェクト進行支援家
    後藤洋平

    1982年生まれ、東京大学工学部システム創成学科卒。ものづくり、新規事業開発、組織開発、デジタル開発等、横断的な経験をもとに、何を・どこまで・どうやって実現するかが定めづらい、未知なる取り組みの進行手法を考える「プロジェクト工学」の構築に取り組んでいます。
    著書に「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」「”プロジェクト会議” 成功の技法(翔泳社)」等。

    コンサルティング実績

    ●ドローンを用いた施設見守りシステムの実証実験
    ●ブロックチェーンを使った新規事業の実証実験
    ●完成車メーカーのデジタル価値創造プロセス策定
    ●デジタル広告大手企業の教育体系再構築
    ●商店街活性化のための人流測定に関する調査
    ●OEM精密機械メーカーへの新規事業テーマ探索支援
    ●ゲームプラットフォームPMO責任者サクセッション支援
    ●多機能サイト制作の商談、受注、納品プロセス標準化
    ●SaaS導入コンサルティング部門の立て直し支援

    講座・研修等の実績

    ●SIer向け プロジェクトリーダー育成プログラム
    ●大手ビジネススクールにおける公募型講座
    ●企業内大学における定期開催型の講座
    ●大企業 企画職むけプロジェクトマネジメント研修
    (金融、ゼネコン、エネルギー、物流、教育、通信 等)
    ●中小企業経営者向け デジタル変革に向けての伴走型講座
    ●大学内講義へのゲスト登壇
    (東京大学、近畿大学、名城大学)
    ●開発ディレクター/SE向けの長期伴走グループコーチング

    SNS

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    https://www.youtube.com/@project_and/featured

    著書

    ・予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)
    ・見通し不安なプロジェクトの切り拓き方(宣伝会議)
    ・紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本(翔泳社)
    ・“プロジェクト会議”成功の技法 チームづくりから意思疎通・ファシリテーション・トラブル解決まで(翔泳社)
    ・決まるプレゼン・会議の組み立て 意思決定のための「場」の演出論(ビジネス教育出版社)